四角く切り取られた空
幼き日の私の世界
鳥籠の中にいる事 それがどんな事か知らなかったよ
君に遇うまでは寂しさの色も 愛しさの意味も知らなかったよ
森の賢者が魔女として架刑台に送られ 後に私は彼の死を知る
『参詣の途絶えた教会 御像となった磔の聖女
君は何故この境界を越えてしまったのか? さぁ、唄ってごらん』
二人で見つけた野薔薇が君を包む
ことを願って墓標の周りに植えたけど
結局遂の終まで咲く事はなかったね…
月光に恋をした鳥籠の白い鳥は 地に堕ちると知りながら 最期まで羽ばたくよ
だからこそ宵闇に唄うのは憾みの唄じゃないわ…
『一途な思いを貫くのも結構だが 果たして彼は君の死と引き換えてまで
本当に其れを望むのかな? まぁいい さぁ、復讐劇を始めようか?』
……いいえ。私はそんな事を望んでなどいないわ
人には其々 背負うべき立場と運命がある
貴方が逢いに来てくれた それだけで充分
後悔などしていないわ 嗚呼 これが私の人生
《門閥貴族の令嬢》でも《七選帝候の息女》でもないわ
私は《一人の女》 唯 君だけを愛した
唯の 【Elisabeth】
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